ラニマ・コラーレ団名の由来
第1回演奏会プログラムより
元NHK音楽部チーフ・ディレクター
武石 英夫
一昨年の夏のことでした。東京藝術大学(当時は東京音楽学校)のクラスメートで、卒業後、現在に至るまで名古屋で活躍を続け、今年めでたく傘寿を迎えられ
た水谷昌平先生からお電話をいただきました。水谷先生が女声合唱団フラウエンコーァ東海と男声合唱団メンネルコーァ東海の指揮者として活躍を続けておられ
ることは周知のことで、今日まで永年の功績で叙勲されたこともクラスメートの名誉として喜びを味わったばかりでした。先生の電話の用件は「永年、男声と女
声、2つの合唱団のタクトを執ってきたけれど、この辺で引退して合唱団も解散しようと思ったところ、皆から反対され、やむなく、合唱団名を変えて再出発し
ようということになった。そこで、今までのドイツ語名ではなく、イタリア語名にしたいから考えてほしい。それも《歌のこころ、歌の魂》というという意味を
強調した名前が欲しい」ということでした。ともかく数日猶予を頂いて小さな頭を絞り「ラニマ・コラーレ」L'Anima
Corale(合唱魂)という名称を思いついた次第です。 合唱に対する水谷先生の意欲と情熱、団員に対する愛情は、先生とお話しする度に感服させられて
おり、少しでも煎じて飲まなくてはと毎回思わされています。合唱の真髄は「ベルカント」。団員が声を合わせ、書かれている詩を作曲者の意図した音楽によっ
て美しい響きで歌い上げていくことにあります。最近の音楽演奏には独りよがりの目立とう精神が発揮されることが多々ありますが、合唱曲の演奏には許されま
せん。本番には余裕を持って演奏できるように、全員が楽譜に書かれていることを頭に入れて、後は先生の手の動きを音楽に変えていく事が最も大事です。それ
が表現されてこそ、合唱魂「ラニマ・コラーレ」です。水谷先生のタクトの下、合唱団ラニマ・コラーレの皆さんが、いつまでも最高の演奏を聞かせ、幸せな発
展を遂げられることを祈念しております。